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                        梅毒について



梅毒は、Treponema pallidum subspecies pallidumによる感染症です。
一般的には皮膚や粘膜の小さな傷から病原体が侵入することにより感染します。
梅毒は局所的な疾患ではなく、いったん体内に侵入すると血液中にはいり、全身の症状をおこします
先天梅毒
梅毒にかかっているお母さんから胎内で感染して生まれた赤ちゃんにみられる症状です。
体重が軽かったり、体に紫斑や黄疸、梅毒疹がみられたり、網膜炎などをおこしているときもあります。また少し大きくなると独特の歯の形や、難聴、角膜炎などがみられることもあります。
日本の妊婦さんたちはほとんど全員が妊娠初期に梅毒の血液検査を受けられているため(万が一梅毒であれば、胎盤ができあがる時期くらいまでに治療をします。)、現在はこのような先天性梅毒のあかちゃんはほとんどみられません。

顕症梅毒(症状がある梅毒)
1期
感染後約3週間で、感染した部位に小さい(直径1,2センチの)硬いしこりのようなものができます。そのうちそのしこりの中央が潰瘍のようになります。このしこりには痛みはほとんどありません
性器におもにできますが、指や唇などにできることもあります
そのうちその周囲のリンパ節が腫れてきますがやはりあまり痛みはありません。
そうこうしているうちに、2,3週間で勝手にそのしこりは治ってしまいます。
感染して4週間以上たたないと、血液検査してもわかりません。ですので、感染の可能性が高い場合には、来院されたときと、感染の機会があってから約8週間前後くらいで血液検査をするのがベターです。
(必要に応じて、しこりの表面をメスなどでこすって中の液をとる方法もあります)
2期
1期の梅毒を放置すると、病原体は血液中にはいって全身に症状をおこすようになります。
体中にバラ疹といわれる薄いピンクの発疹がでたり(数週間で勝手に消えます)、えんどう豆くらいの盛り上がった発疹がでたり、足の裏などの分厚い皮膚にじくじくした赤っぽい湿疹のようなものがでたりします。また、性器などに平べったいいぼのようなものがたくさんできるときもあります。
脱毛などがみられることもあります。
これらの症状は3ヶ月から3年くらい出たり消えたりし、自然に治ることもありますが治らないものは次のステップに移行します。
(ただし、これ以上の状態になる前に現代では診断がつくことがほとんどですので3期、4期の梅毒はほとんどありません。)
3期
皮膚などにゴムといわれる腫瘤などを作ったりします。
4期
大動脈の炎症や大動脈瘤、麻痺などの神経症状がでることがあります。

無症候梅毒
梅毒の症状がなく、血液検査でのみ陽性が出る場合をこのようにいいます。
偶然、症状が消えている間のこともありますのでこのような場合は治療を必要としますが、かなり以前にかかって自然に治癒したり治療が確実に終わっている場合もあります。

梅毒の治療法は抗生剤の内服や点滴です。
血液検査の方法には、STS法、ガラス板法、RPR法、TPHA法、FTA-ABS法などがあります。
治癒判定には、血液中のSTSの抗体価の定期的な測定です。定量値が8倍以下で治癒と判定します。もちろんその後の定期的なフォローも必要です。
もちろん、パートナーの検査も必要となります。
また梅毒のかかっていると、HIVに感染する可能性が高くなります。