性器脱・下垂
性器脱・下垂とは、子宮や膀胱、直腸、膣などが本来の場所よりも下がってくることをいいます。
自覚症状では「何か下がっている気がする」「いきんだりくしゃみしたりすると何かでてくる」
なおかつ
「おしっこがいきまないとでにくい、残っている気がする」「便秘がひどい」「へんな出血がある」などがよくきかれます。
原因は、いろいろいわれていますが、子宮や周りの組織を支えている組織の力が弱くなってくるためといわれており、ほとんどのひとが分娩(膣からの普通分娩)の経験者であり、どちらかというと重いものを持ったりする仕事が多いひとがなりやすいのではないかといわれています。若いひとにはかなりめずらしく、比較的高齢の方に多い病気です。ただし、珍しいものでもなく、程度の差はありますが女性の10数人に一人が罹患するものともいわれています。
子宮のすぐ前には膀胱があり、後ろには直腸があるため、子宮だけが下がってくるよりは他のものもいっしょに下がってくることがよくみられます。
命にかかわるような状態ではありませんが、一番つらいのは、「何かでているカンジ」という不快感です。
またこのため不正出血や、便秘、頻尿などの症状もよくみられます。
そのため、その「不快感」の程度によって治療が必要となってくるときがあります。(程度がひどくなければ様子観察のみで問題ありません。)
また、腹圧をできるだけかけないようにしたほうが、進行の度合いが少ないといわれています。(=重いものをもったりするのをできるだけ避ける、腹筋をつかいすぎない)
外来で簡単に行える治療にペッサリーという、輪のようなものを膣に挿入して子宮や膣粘膜を上のほうに持ち上げてやる方法がありますが、これは異物を長時間膣にいれておくため、場合によっては膣粘膜が傷がついたり感染をおこしたりします。(=色のついたおりものがでる、など)
なのであまり長期にわたる治療法としては難しいときもあります。しかし外来でその場で手軽にできる治療であり、あう方には装着直後から不快感が消失しうそのように楽な生活をおくれるときもあります。(サイズがいろいろあるので、はじめは医師による測定が必要です)
また慣れればご自分で脱・装着ができます。
あとの治療法としては、手術(おなかを切る方法ではなく、膣からの手術です)があります。
治療法に関しては、それぞれのひとの自覚症状や生活への支障の度合い、年齢、環境などによって方法を決めていくこととなります。
子宮が下がってくると、膀胱や直腸、膣粘膜にも影響があります
正常な子宮の位置