思春期外来
非常に多感で微妙な年齢の女性に比較的多い症状などをまとめてみました。 当クリニックではもちろん、必要のない内診は行いません。 |
思春期によくみられる症状など
思春期とは、小児期から性成熟期への移行期間をいい、日本ではだいたい7,8歳〜17,8歳の間のことをいいます。この時期にもっとも顕著にみられる変化は性徴の変化であり、乳房の発育や陰毛発生、初経(はじめての生理)を経て第2次性徴の確立と月経周期がほぼ確立してきます。
続発性無月経
それまで順調にあった生理が3ヶ月以上こない場合をいいます。もちろん出産後などは除かれます。
続発性無月経で一番多い原因は、原因不明、他、体重の増減やストレス、過度のスポーツ、神経性食思不振症、甲状腺の病気や糖尿病などといわれています。
なかでも体重減少性無月経はかなりの頻度を占めます。原因はストレスやダイエットのことが多いのですが、中には甲状腺の病気や他の疾患などが原因になることもあります。
また高度の肥満でも月経異常はおこりうります。原因となる病気がなければどちらも体重を少しづつ適性体重にもどしていくことが一番の治療なのですが、あまりに長期無月経が続いたり、逆に不正出血が続いたりする場合には一時的にホルモン補充治療や漢方薬などが必要となります。
不正性器出血
これも、まだ生理周期が確立していない思春期のころには比較的よくみられる訴えのひとつです。
ほとんどの場合が、排卵周期がきちんと確立していないことによりおこることが多い(思春期の不正出血の8割くらいは機能性出血で、悪いものではありません)のですが、中にはもちろん卵巣腫瘍や子宮筋腫、ポリープ、他血液や感染、妊娠などといった病気などもみられることがあります。
乳房の異常
ちょっとしたアレルギーや、ホルモンバランスの影響で、「乳首がじくじくする」「かゆい」といったような症状がでることがあります。
ほとんどの場合は塗り薬や下着のケアなどでおさまる場合が多いです。
遅発思春期
乳房発育が11歳、陰毛発生13歳、初経14歳のいずれも満たさない場合をいいます。月経に関しては、18歳になっても初経が認められない場合を原発性無月経といいます。
先天的な問題がある場合もあり(染色体の異常)甲状腺や副腎に問題がある場合もあります。
原因により治療法はやはり異なりますが、エストロゲン、プロゲステロンなどのホルモンを補充してあげなければなりません。
早発思春期
乳房発育が7歳未満、陰毛発生9歳未満、初経が9歳未満のことをいいます。
視床下部・下垂体からの性腺刺激ホルモンが早くから分泌されたり、あるいは卵巣にホルモンを作る腫瘍があったり、また、甲状腺機能低下症や副腎皮質の病気などがあることもあります。
(ただし部分的に早発であり、特に異常を認めない早発乳房発育や陰毛発生などもあります。)
はじめは一時的に高身長であることが多いのですが、あまりに早く思春期が始まる(=エストロゲンが早期に分泌される)と、最終的には早めに骨の成長がとまり、身長が伸びなかったりします。治療法は原因により異なりますが、身長を伸ばしてやるために一時的にエストロゲンの分泌を抑制してやらなければなりません。
治療法はGnRHアナログ製剤(リュープリンなど)を投与し、女性ホルモンを抑制します。だいたい、12歳ごろまで治療を続けます。
また、小児の場合、部分的思春期早発症といって、上記の症状が一時的に出るものがあります。
ほとんどは3歳以下の女児にみられ、成長促進などの症状はみられず、一過性にホルモンが分泌されたためだと考えられています。稀に、女性ホルモンを作る卵巣腫瘍などが原因であることもあります。
月経異常
一番、婦人科の受診で多い訴えのひとつです。
ここで、一般的な「正常な月経」というひとつの定義についてお話します。
周期(出血開始日から次の開始日まで)は25日〜38日 変動は±6日以内
出血持続日数は3〜7日
総出血量 20ml〜140ml
といわれています。ただし、これらは成熟した女性の場合です。
思春期の女性の場合は、
周期は21日〜41日
出血量 平均35ml
くらいで、成熟女性より周期には幅があり、また出血量も少ないことが多いのです。(ただし例外もあります)
初めての生理がきて、約半数のひとは、半年から1年くらいである程度規則正しく生理がくるようになりますが、2、3年かかる場合もけしてめずらしくはありません。
おりものの異常
女性ホルモンの影響で、異常でなくてもおりものが増えたり、あるいはちょっとした雑菌などで症状が出る場合もあります。場合によっては、綿棒などで少しだけおりものをとって検査に出す場合もあります。(もちろん、ご本人とお母様のご希望がない場合は検査はいたしません。)
生殖器の形状について
これも心配されて受診されることが多い訴えのひとつです。
思春期には、乳房が発育し、乳輪が大きくなり、少しずつ大きくなります。
また、陰毛の発生から大陰唇の発育、色素の沈着などがおこるのですが、発育の部分的な違いに個人差もあり、自分はおかしいのではないかと悩まれることが多いのもこの時期です。
実際、受診されたほとんどの方たちは、まず問題はなく成長過程での変化のひとつであることが多いのですが、簡単に他人と比べることができにくいということもあります。