HIVウィルスが血液・体液などを介して感染する感染症で、日本でのおもな感染経路は性的接触といわれています。感染者の約30%強が女性です。
診断法は、血液中のHIV抗体、抗原などの検査です。(ただし、母体がHIV感染症であった場合、そのBABYは生後18ヶ月まではHIV抗体が陽性であるので、HIVの病原やグロブリン、リンパ球数などを測定して診断がつきます)
AIDS(Acquired Immunodeficiency Syndorome)とは、後天的に免に疫不全状態がみられ、その結果、日和見合併症(普通の免疫状態であれば発症しないような感染などがおこる状態)がみられ、なおかつ、HIV感染以外にその原因が考えられない場合をこのように言います。
感染初期には、発熱、咽頭炎、倦怠感、筋肉痛などといった症状がみられることもありますが、これらの症状は数週間で自然に消失しその後まったく症状のない時期が続きます。この状態は、無治療の場合5〜10年くらい続くことが多いといわれていますが、もちろん個人差もあります。
無症状の時期にも体の中では変化がおこっており、HIVがCD4陽性Tリンパ球やマクロファージ系などの免疫機構をつかさどる細胞に感染し、免疫力を低下させていくのです。
治療方法としては、薬がたくさんありますが、治療の目的は、血液中のHIV−RNAの量を抑制することです。
開始時期は、血液中のCD4陽性リンパ球の数やHIVウィルスの量により決定されます。
HIVの治療は以前に比べるとめざましい発展をとげていますが、ウィルスを100%消してしまうものはまだありません。
そのため、やはり感染予防・感染の早期発見が非常に重要なポイントとなります。
また、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、クラミジア、淋菌感染症などの感染は、HIVへの感染を3,4倍上昇させるともいわれています。
また、逆に、HIVの感染により、免疫力が低下するため、他のSTDに感染する確立も上昇します。
コンドームの使用は他のSTDのみならず、HIVへの感染の可能性も減少させてくれるのです。
また、母体から胎児への感染は、現在の日本では2%くらいといわれていますが、これは妊娠中のHIVの検査などがかなり普及しており、妊娠中からの適切な治療がされているからであっての結果です。(アフリカなどの統計では85%という高い数値を表すところもあります。これは妊娠中の治療が経済面などからかなり無理があるからとも考えられています。また何の予防的な治療もしない場合には母子感染は10〜30%におこり、授乳により30〜45%にさらに上昇するという統計もあります。またいいかえれば母子感染の70〜90%は分娩時におこるともいわれています。)
また、胎児への分娩のときの感染を避けるために、妊娠37週にはいれば、陣痛がきたり、破水などによる感染を避けるためにも帝王切開による分娩が勧められることも多いです。