アセチルCoAはHMGCoA還元酵素によりコレステロールを生成します。 |
コレステロールあれこれ
HDLは細胞表面のABCA1を介して、アポA1蛋白に細胞内のコレステロールを受け取り合成されます。ここにLCATという物質が作用してHDLが成熟、CETPが作用してCEはLDL受容体を介して細胞内に取り込まれます。 |
LDLは血管内皮細胞に取り込まれます。余った分が血管内に蓄積して動脈硬化の原因を作ります。ここにHDLがあるとHDLに取り込まれて肝臓に再吸収されます。 |
コレステロールといえば、まず一番に連想するものが油・脂肪といった言葉ではないでしょうか。人間の体には4種類の脂肪があります。
中性脂肪の比率 | コレステロールの比率 | リン脂質の比率 | |
カイロミクロン | 90%近く | ||
超低比重リポ蛋白(VLDL) | 50〜60% | 20% | 20% |
中間比重リポ蛋白 | 40% | 35% | |
低比重リポ蛋白(LDL) | 20% | 45% | |
高比重リポ蛋白(HDL) | 3%前後(非常に少ない) | 30% | 50% |
@(遊離)脂肪酸 | 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。主に心臓・心血管系の筋肉の直接のエネルギーとなるものです。細胞膜の原材料でもあります。 | |
A中性脂肪(TG) | 3つの@とグリセロールがくっついたもので、貯蔵されるためにあり、必要に応じてエネルギーとなります。食事で摂取される脂肪の95%をしめるといわれています。消化されると遊離脂肪酸やモノグリセライド(脂肪酸1つとグリセロールがくっついたもの)となり、体内に吸収され、特殊なたんぱく質の入れ物の中で体内を移動します。 | 通常の食事で摂取されるものです。 |
Bコレステロール | 細胞膜を構成する成分で、ホルモン(女性ホルモン、男性ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)や胆汁の材料となります。コレステロールは食事からは1日で約0.4g 体内で1gくらい合成されます。言い換えれば約8割は体の中で作られるのです。代謝され、胆汁内や胆汁酸として腸に排泄されますが99%近くは再吸収されるため過剰摂取で余分な蓄積がおこるのです。 | |
Cリン脂質 | 細胞膜を正常に保ち、細胞膜の透過性を保つためのものです。血液内での輸送に威力を発揮します。 |
LDL受容体 |
薬剤の種類 | LDL | TC | TG | HDL | 図より | 効果 | おもな薬剤 | 副作用 |
スタチン(HMG−CoA還元酵素阻害薬) | ↓↓↓ | ↓↓ | ↓ | ↑↑ | 肝臓でのコレステロールの生成を阻害する。LDL受容体増加、HDL取り込み促進、レムナント抑制効果もあり。 | LDLをもっとも効果的に低下させる | ブラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン | 横紋筋融解症、消化器症状、肝障害 |
レジン(陰イオン交換樹脂) | ↓↓ | ↓ | ↑ | 腸管内で胆汁酸と結合して小腸での再吸収を抑制、LDL受容体増加 | 冠動脈疾患の発症率を下げる ジギタリス、ワルファリン、サイアザイド、スタチンなどの薬剤と併用時には服薬間隔をあける |
コレスチラミン、コレスチラミド | 消化器症状、ジギタリスやワルファリンの吸収障害 | |
フィブラート系 | ↓ | ↓ | ↓↓↓ | ↑↑↑ | リポ蛋白や肝臓のリパーゼ活性を高め、肝臓の脂肪酸合成を抑制。その他HMG−COA還元酵素阻害、胆汁へのコレステロール排泄促進、HDLを上昇 | TGをもっとも効果的に低下させる | クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート | 横紋筋融解症、肝障害 |
ニコチン酸誘導体 | ↓ | ↓ | ↓↓ | ↑ | 遊離脂肪酸の動員抑制により、肝臓でのVLDL合成を抑制、リポ蛋白リパーゼ活性を高めてTG低下、コレステロール排泄促進 | 高TG、高コレステロール血症に有効 | ニコチン酸トコフェノール、ニコモール、ニセリトール | 顔面紅潮、頭痛 |
プロブコール | ↓ | − | − | ↓↓ | 肝臓のLDL受容体を介さずにLDL異化亢進、リポ蛋白合成の抑制 | プロブコール | 心電図QT延長、消化器症状 | |
EPA | − | − | ↓ | − | イコサペント酸エチル | 出血傾向、発疹 |
口から入ったコレステロールや中性脂肪(TG)は小腸から吸収され カイロミクロンとなって血中に。その後脂肪細胞の中で分解され蓄積されます。 またリパーゼにより分解されて生成した遊離脂肪酸(NEFA)はエネルギーになり、残りがレムナントとして肝臓で処理されます。 |
そして、高脂血症のお薬の表をもう一度みてみると、効果がどこに現れるのかが非常によくわかります。
下は、コレステロールや脂肪酸などが体内でどのように代謝されるかの図です。
ちょっとややこしいです。
口からはいったものと、肝臓で作られるものの2つの経路があります。
また、それらの代謝物がどのように再利用されたり蓄積されるかも簡単に図解してみました。
肝臓内でコレステロールは胆汁酸にも代謝され排泄されますがほとんどが(99%)小腸内で再吸収されます。 |
このリポ蛋白の中のTGやCEの割合により、これらのリポ蛋白に種類わけされます。
CE
CE:コレステロールエステル
TG
アポ蛋白
遊離コレステロール
リン脂質
ごらんのように、脂肪は生存するために絶対必要なものなのです。けして悪いだけのものではないのです。
ただ、過剰な脂肪の摂取などによりいろいろと不都合がでてくるのです。
また、よく検査データをみると、LDL、HDLという名前があります。
このLDLとはLow Density Lipoprotein:低比重リポ蛋白 HDLとはHigh Density Lipoprotein:高比重リポ蛋白のことで、LDLとはコレステロールをたくさん含み、体の隅々に運ぶ役割を担っていますが、これらが多すぎると動脈硬化などの原因になるため、悪玉コレステロールともいわれています。
HDLは血管内皮に蓄積したコレステロールを除去して動脈硬化を抑える働きをするため善玉コレステロールといわれます。
リポ蛋白の図です。